春になったら新しい桜文鳥をお迎えしようと決めていた。ベタ馴れのヤッピーも悪くないが、1日の大半を一人で留守番しているのはさぞ寂しかろうと思った。私自身も、飼い主のそばからじっと離れない文鳥よりも、鳥同士できゃっきゃと騒いでいるのを見る方が好きだ。
バジルとヤッピーは市内の別の小鳥屋さんの出身だったが、次の子はまた別のお店で買うことにした。なんとなく、文鳥の世界にも、お店によって、あるいは地域によって何か文化のようなものがあるのではないかという気がしたからだ。
実は、ブランコ遊びをする文鳥にあこがれていたのだが、某ペットショップのHPでブランコに乗った文鳥の写真を見つけた。そこは、前々から飼いたいと思っていたオカメインコも充実しているようなので、そこから桜文鳥とオカメをお迎えすることにした。一緒に連れ帰ることで、文鳥とオカメが多少なりとも仲良くしてくれればという願いもあった。
車で2〜3時間かかりそうだが、ドライブがてら出かけることにした。
2005年3月19日(土)
そのお店は小奇麗で実にお世話が行き届いていた。昔ながらの小鳥屋さんしか知らない者にとっては、ちょっと感動だ。
お目当ての桜文鳥のヒナは、ガラスケースの中にいた。さし餌の終わっている子は2羽だけだが、ちょうどいい大きさだと思った。中雛のケースには、低い位置に止まり木とブランコがしつらえてあって、1羽が活発に止まり木とブランコの間を行ったり来たりして遊んでいる。もう1羽の方が元気がなさそうに見えたのが気になったが、ブランコで遊ぶヒナがいかにも楽しげで可愛かったので、その子に決めた。おとなしい方の子にしきりに羽づくろいをしてやっているのも、プラスポイントだ。こんなに、かいがいしい子なら、ヤッピーともうまくいくのではないかという気がした。
今回の希望はメスだったが、元気のいいのは女の子だろうと勝手に思うことにした。どういうわけか、そのヒナにはシッポが1本もなかったが、シッポくらいすぐに生えてくるさと、気にしなかった。ヤッピーの爪に比べれば、かわいいものだ。一応、店員さんにケースから出してもらって手に乗ることを確認した。私の手には怖がって乗ってくれなかったが、店員さんには甘えていた。これなら大丈夫。
一緒に買うことにしたオカメインコと文鳥のヒナをそれぞれ持参したキャリーに入れてもらった。帰宅するのに時間がかかるということで、ちゃんと道中の餌と水を入れてくれて、実に丁寧に梱包してくれた。
ヒナたちが食べていた餌と文鳥がゴキゲンで乗っていた可愛いブランコも買った。「当店オリジナル」というその小ぶりのブランコは、淡い色合いのビーズで彩られていてとても素敵だ。
帰宅の道中、助手席に置いたヒナたちの様子が気になるが、厳重な梱包のため中が全然見えない。声をかけると、オカメは「ピュィッ」と返事をするが、文鳥の方はかさこそ歩き回る音は聞こえるものの反応がない。どうしても気になって、信号待ちの間にちょこっと包装をめくってみた。すかさず、けたたましい声がした。「キャルルルル・・・!!!」。思わず「すみません」と頭を下げる。
そのうちにオカメが、不安がって呼び鳴きをするようになってきた。すると、またもやもう一方のキャリーから「キャルルルルッ!」とおしかりの声が聞こえてきた。だまるオカメ・・・。何とも将来有望なヤツだ。
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